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米ワシントンで2025年5月7日、米連邦公開市場委員会後の記者会見で話す米連邦準備制度理事会のパウエル議長=AP
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 待つ(Wait)――。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は7日の記者会見で、この単語を20回以上口にした。トランプ大統領の関税政策が、雇用や物価高(インフレ)を悪化させかねないと警戒する一方、足元の経済指標は底堅い。動くに動けない局面で、経済の変調の兆しに目をこらす我慢の時が続く。

 FRBは7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、3会合連続となる政策金利の据え置きを決めた。パウエル氏は会合後の記者会見で「発表された大幅な関税の引き上げが続けば、インフレ率の上昇、経済成長の減速、失業率の高まりを引き起こす可能性が高い」と明言した。

 パウエル氏が言及した関税とは、前回3月会合後の4月2日にトランプ氏が発表した「相互関税」のことだ。ほぼ全ての国・地域を対象にしたこの新関税の規模は、FRBの想定を超えた。FRBは3月に経済見通しを更新したばかりだったが、前提は大きく狂った。

利下げするわけには…難しい現在の局面

 対中国では追加関税が計145%になるなどの異常事態で、輸入品を中心に物品の値上がりや、景気への悪影響が見込まれる。パウエル氏は「消費者は、問題がすでに存在しており、様子見の余地はないと感じている」と語った。

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